将来、芸術関係の仕事に就きたいという生徒たちが愛媛県美術館を訪問しました。学芸員さんから美術鑑賞の楽しさ・学芸員の仕事・仕事のやりがいや苦労など、たくさんのお話をしていただきました。生徒たちは熱心に質問をしたり、美術鑑賞では意見をぶつけあったりして、有意義な時間となりました。
職場観察実施日:2014/5/30
計画・進捗
今年度の3年生に芸術関係の専門学校や大学を志望している生徒が多くいることもあり、進路に結びつく良い手がかりとなると考え、県美術館に職場観察の依頼をしました。また、1・2年次に訪問した他の業種と比較し、自分自身の適性について考える機会にもなればと思いました。
事前打合せ ・ 事前学習
5月30日11時に事前学習を行いました。美術館の仕事についてや学芸員にふさわしい適性、見学地である愛媛県美術館について、クイズ形式で楽しみながら学習しました。また、みんなで話し合って質問項目を決定し、美術館を利用する際の注意事項を確認しました。生徒たちは、「より楽しく鑑賞する方法を聞きたい」、「学芸員さんが一番好きな絵はどんな絵だろう」など、活発に質問事項を発表していました。職場観察は以前に何度か行ってはいるものの、訪問を前に少し緊張気味で事前学習を終えました。
当日の様子
5月30日13時より県美術館を訪問しました。まず初めに、大きな1つの油絵(少女と2匹の犬)の作品を鑑賞します。「近くや遠く、様々な角度から見てください」と言われ、全員が何も言わず集中して絵画を観ました。その後、絵から何がわかるか、どう思うかを一人ずつ発表しました。
「季節は秋だろう」、「少女の顔が悲しそうだ」、「犬が悲しむ少女をなぐさめている」、「少女の服の色彩のバランスがとても良い」など様々な意見が飛び交いました。学芸員さんから、「こんなに沢山すばらしい意見が出るクラスはめずらしい」とお褒めの言葉をいただきました。学芸員さんが上手に生徒たちの意見を引き出してくださり、とても和やかな鑑賞になりました。また、美術館では作品に関することなら話をしても大丈夫だとの説明もあり、その後の館内作品でも意見を言い合いながら鑑賞していきました。
鑑賞を終え、学芸員さんから美術館についての様々な仕事内容の説明を受けました。また、人生の先輩として、仕事を選ぶ時に大切だと思うことを真剣にお話してくださり、生徒たちもそのことが一番印象に残ったようでした。
事後学習
職場観察終了後、記憶が鮮明なうちに感じたり学んだりしたことをワークシートにまとめました。
2ヶ月に1度の作品入れ替えには県人優先で買い付けることや、修理に非常に時間がかかることなど、普段知ることができない仕事内容を沢山教えていただきました。
それによって、私たちが知っている仕事内容は一部に過ぎず、それ以外にもたくさんの仕事があることを学んだようでした。
また、多くの生徒が将来を考える上で役に立ったという学芸員さんの言葉は、「少々の回り道をしてでも、自分のしたいことやりがいのあるものを見つけ出し、その夢を実現することが自分の人生にとって重要だ。人生には波風があっていい」というものでした。
所感 ・ 振り返り
美術館を訪問し学芸員さんの仕事について学ぶことを目的としていましたが、仕事内容はもちろん、作品鑑賞の楽しさや仕事を選ぶ上で何が大切かなど貴重なお話もしていただき、大変充実した職場観察となりました。職場観察は様々な業種の仕事を知るばかりではなく、普段の学校生活とは違い地域の社会人の方からたくさんのことを学ぶ場だと感じました。
協力者 ・ 生徒の声
<協力者の声>
感性豊かな生徒さんたちで作品鑑賞の意見はとてもすばらしく、私自身も楽しい鑑賞となりました。学芸員はお客さんの視点を大切に考えて仕事をしているので、今後の参考にもなりました。是非、また美術館に足を運んでいただき、豊かな感性で作品を鑑賞してもらえると嬉しく思います。
<生徒の声>
作品をじっくり鑑賞すると、それまで見えてこなかったものが見えることに気付きました。また、美術館には様々なイベントや体験コーナーがあり、絵や作品を展示する以外にも仕事内容が大変多いことを知りました。学芸員さんからは、「フィルターをかけて物事を見るのをやめる」ことなど、将来について考える際のアドバイスもいただきました。
協力先名・URL
愛媛県立美術館
実施校・参加者
私立 第一学院高等学校 養父校(松山キャンパス) 3年次生
男子4名、女子4名